この恋、国家機密なんですか!?
4.お休みと私
「宗一郎さん……」
私から高浜さんが離れる。
「うまくいったな」
「あぁ……しかし、発砲されるとはな」
え?なに、この2人の間の目と目で通じ合う雰囲気は……。
「宗一郎さん、帰ってこられないって……」
私にはそう言ったのに。
「空砲かぁ、ビックリしたなぁ。っていうか高浜さん、篠田さんが来るならそう言っておいてくださいよ。二人とも人が悪いなぁ……」
大西さんが寄ってくる。
「お前もまだまだだな」
高浜さんが真面目な顔で言った。
「ご苦労だった。休日手当ては、ちゃんと付けるから。あと高浜、これは嫁に」
宗一郎さんはこちらに近づきながら、内ポケットから何かを取り出す。
それは、有名なゆるキャラの小さなぬいぐるみだった。
猫の頭に、カブトが乗っている、あれだ。
「おお、これはこれは」
高浜さんは賄賂でも受け取るかのように、笑顔でそれを受け取り、そそくさとしまった。
1日で奥さんの好きなゆるキャラを2体もゲットしたんですね……。
「お前が休日出勤になったと、嫁から呪いメールが来たから、仕方なく買ってきた」
「そんなこと言って、本当は気を使ってくれたんだろ?」
「は、相変わらずめでたいヤツだ」
宗一郎さんが悪態をつくと、SPたちは笑いながら帰っていった。