この恋、国家機密なんですか!?


そんな私の気持ちは無視して、宗一郎さんはメガネをはずす。

そして、浴室に向かおうとした私を、壁際に追い詰めた。


「入ります、じゃないだろ?」

「……はい?」

「俺より先に一人で入ろうだなんて、許されるわけがないだろう?」


だって、入るかって聞くから、入りますって答えただけじゃん。

私に反論する間も与えず、宗一郎さんはにやりと笑う。


「一緒に入ってもよろしいですか、だろ?」


低い声が、耳元でささやく。


なななな、なんでやねん!


「いいいいいえ、では私は後で入りますから、宗一郎さんお先にどうぞ!」


昼間から一緒にお風呂なんかいや!

それでなくても添乗の仕事が立て込んでいて、冬なのを良いことに、ムダ毛の処理を怠っているというのに!


「ほう……俺に逆らうか」


至近距離でささやく声が、背中に鳥肌を立てる。

これはまずい。

疲れているのに……お風呂だけでは済まされなくなる。


私は観念すると、メイクを落とす時間とムダ毛処理の時間だけをもらうことを許され、浴室に入った。

そんなお願いをする私の情けない顔を見て、宗一郎さんはその端正な顔に、愉悦の表情を浮かべた。


この、ドSの極みめっ!!
でも好きなんだよ、ちくしょう!





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