この恋、国家機密なんですか!?
上司に協調性がないと言われ、仕方なく参加した慰安旅行で、唯を見つけた。
一言で言ってしまえば、まず見た目が気に入った。
女性にしては背が高く、色白で胸が大きい。
仕事柄、くっきりと濃い化粧をしているようだが、すっぴんでもじゅうぶんだろうと思える顔立ち。
そして、近くにきたときに、ぷんとにおった、『いじめられっこオーラ』。
最初は少し遊べればいい、くらいに思っていた。
職場でいくら冷血・人でなしと言われようとも、俺だってひとりの人間だ。
誰かに寄り添いたいときだってある。
何度か唯と会い、男女の関係を持つようになって、少しした頃だった。
情事のあと、うとうととまどろみながら、唯は俺の腕の中で、昔話をはじめた。
『宗一郎さんは、学生の頃部活とかしてました?』
突然の話題だったので、俺は『剣道を少々』と、正直に答えてしまった。
すると唯は、自分のことをぽつぽつと話し出す。
『私ね、陸上やってたんです。中学の時。けっこう、早かったんです』
ふくらはぎが盛り上がっていたからそうだろうとは思っていたが、俺はふうんとうなずく。