この恋、国家機密なんですか!?
『でも今、大人になってから思うと、あのとき頑張って卒業までいればよかったなぁって思うんです。そうしたら、違う友達にも出会えたかもしれないし』
『……』
『一番くやしかったのは……やめるって言ったとき、誰も引き留めてくれなかったこと……』
部活の仲間も、クラスメートも、誰も自分を引き留めてくれなかった。
そう呟いて、唯は俺の胸に顔をくっつけて、鼻をすすった。
少し泣いているようだった。
その時俺の中の何かが目覚めたような気がした。
突然起き上がった俺に驚く唯をそのままに、枕元に放り投げてあったネクタイを手に取る。
それで唯の両手を縛り上げた。
彼女は驚いた顔をしたが、抵抗はしなかった。
『……さみしかったの』
それだけつぶやいて、また少し泣いた。
『わかってる』
俺はそのまま、唯を抱きしめた。
それからというもの、俺は唯を抱くとき、常にどこかしら、拘束するようになった。
それまで毎回どこか緊張していたような彼女の体が、徐々に開放されていくのがわかる。
毎日毎日、必死で作り笑顔をしている唯が、縛るとなぜか、安心した子供の顔をのぞかせる。
その瞬間が、俺は好きだった。