この恋、国家機密なんですか!?
外は寒そうだ。
出口付近の自動販売機でコーヒーでも買おうと思って財布を出していると、誰かが入ってきた。
内勤の社員さんだろうか。
反射的にそちらを見ると、そこにいたのは……
「あれっ、マキさん?」
「あ、唯ちゃん。書類提出?」
「そうです。マキさんはどうしたんですか?」
マキさんは寿退社しているはず。
疑問の目で彼女を見つめると、疲れた顔がふっと笑った。
「うん、実は私、離婚することになって」
「え……っ」
「この前は話を聞いてくれてありがとうね。やっぱり続けていくのはムリだって思ってね、離婚することになったの。子供は私がひきとるから、今日は働き口を探そうと思って。今から面接」
離婚……そうなっちゃったんだ。
なんて言ったらいいのかわからなくて、困る。
「えっと……じゃあ、また添乗員を?」
「まさか。子供がいるのに、それはムリよ。ここの事務で、パートを募集してるって聞いたから」
そうなんだ。
それしか言えなくて、また言葉につまる。
だけどマキさんは、意外に明るく言った。