この恋、国家機密なんですか!?
お昼過ぎに部屋に戻ると、宗一郎さんがいた。
彼も今来たばかりのようで、まだスーツ姿だ。
「お帰り」
そう言われるだけで、テンションマックスな私。
休みをとることに対して、会社でさんざん嫌味を言われたけことを、一瞬で忘れた。
「さて、一休みしたら荷物をまとめて行くか」
「はいっ」
私はしっぽをふるわんこのように、勢いよく返事をした。
別に普通のかっこうで良いと言うので、本当にセーターにパンツといったシンプルな服装に、お泊まりセットを持って、アパートの前に停めてあった宗一郎さんの車に乗り込む。
この黒いセダンも久しぶり。
私たちは本当の不倫カップルみたいに、会えば部屋でいちゃいちゃしていることがほとんど。
外デートは数えるほどしかない。
よく考えてみれば、私がお泊まりセットを持っていくのなんて初めてだ。
うふふ、鼻歌でも歌いたい気分。
「ふんふんふん~♪」
「……でかいせいか、声が低いな……」
「……すみません……」
「別に、いいけどな」
宗一郎さんは私の頭をなでると、アクセルを踏んだ。