この恋、国家機密なんですか!?
「やだ~!つけまつげを……せめてつけまつげを~!」
「もう遅いだろ。どうしてもなら、あっちで買え」
「そんな~」
どうしていつも、肝心なことは教えてくれないの?
「普段から、手を抜いちゃダメってことっすね……」
しゅんとしていると、宗一郎さんはボソッと言った。
「そのままでじゅうぶん、キレイだってことだよ」
な……なんですとぉぉぉぉ~!
「宗一郎さん、戻りましょう!多分熱があります!そうじゃなきゃ、変なウイルスに感染してますよ絶対!」
「はぁ?おい、危ない!身を乗り出すな!こら、冷たい手で額に触るな!」
「だって、だってぇぇ~!」
「うるさいっ!いいからお前は寝てろっ!せいぜい顔をむくませるがいい!」
ぐいっと頭を押されて、首が折れそうになる。
私はオロオロしながら、助手席でおとなしくすることに決めた。
どうしよう……宗一郎さん、なんか変だ。
このドSが人のことをほめておだてるなんて、絶対おかしい。
何かたくらんでる。
……この旅、無事に終わるのかしらん?