この恋、国家機密なんですか!?
やっと目的地に到着したときには、日が暮れて完全に夜になっていた。
職業病だろうか、初めてのお泊まりという興奮からだろうか、私は一睡もしていない。
「さっむいですね~……京都にくるなら、そう言っておいてほしかったな~……」
ちらりと宗一郎さんをにらんで嫌味を言うけど、本人は聞こえないふりをして聞き流していた。
そう、私たちがたどり着いたのは、京都だった。
しかも日本海がわの、はじっこのほう。
やけに手足の先が冷えると思っていたら、外にはうっすらと雪が積もっていた。
そりゃあ寒いはずだよ!
「まあ、そう怒るな。今日の宿に着いたぞ」
「へ……っ」
町から離れた山奥に、その建物はあった。
何度かパンフレットで見たことのある、大きな旅館だ。
いつもの修学旅行や安いツアーでは絶対に寄れない、老舗旅館……。
「う、うそ~!」
私の記憶が正しければ、この旅館、1泊一人7万円近くしたはず……。
どどどどうしよう。
お金そんなに持ち合わせてない。
でも、当日キャンセルしたらキャンセル料払わなきゃいけないから、結局もったいない。
私はこっそりクレジットカードが財布に入っているか確認して、びびりながらその入り口をくぐった。