この恋、国家機密なんですか!?


私が宗一郎さんに出会ったのは、3年と少し前。

添乗員になって2年経った、26歳のときだ。


世界中を仕事で、しかもタダで行けるなんて夢のようじゃん。
そんなミーハーな気持ちで挑んだ、資格試験。

当然、2度あっさり落ちた。

3度目でやっと合格した私は、うきうき旅行気分で研修に出て、その理想と現実のギャップに絶句した。

なにが「タダで旅行に行けていいね~」だよ。

私は過去の自分を、想像の中でブチ殴る。

添乗員の仕事は、想像以上にきつかった。

添乗員を派遣する会社に登録している私は、いろんな旅行会社のツアーに添乗することとなった。

各旅行会社の社員の添乗員もいることはいるようだけど、人数は少ない。

彼らは内勤がほとんどだけど、こっちは添乗がメイン。

まさに肉体労働。

しかも、ツアーに来るお客様っていうのは、ほとんどおじいちゃんおばあちゃんだ。

子供みたいにわがままで、なのに自分は立派な大人だと思っているのがジジババというもの。

バスに乗ればすぐお菓子やお酒、おつまみの匂いが充満する。

サービスエリアで休憩すれば、絶対集合時間を守らない人が出てくる。






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