この恋、国家機密なんですか!?
6.お正月と私
二日連続で酷使された体は、ぎしぎしときしんでいた。
だけど、せっかく京都まで来たのに、寝てたらもったいない!
私は気合を入れて化粧をし、朝食をおいしくいただき、出かける準備をした。
「姉さんが車を出してくれるそうだ。唯、どこへ行きたい?」
昨日のことなんか何もなかったように、宗一郎さんが聞いてくる。
手には京香さんから借りたのか、ミニサイズのガイドブックが。
それを渡された私は、ぱらぱらとページをめくる。
まあ見なくても、だいたいのメジャーな神社の名前と場所は頭に入ってるんだけど。
「じゃあ、清水寺にしましょうか。景色もきれいだし、周囲にお土産物屋さんもたくさんあるし、きっと楽しいですよ」
……そして、清水寺の中には、『地主神社』という縁結びの神様が祀られている小さな神社がある。
そこで、恋愛成就……っていうか、結婚!お願いしたい!
そんなよこしまな気持ちに気づいたのか、気づいていないのか。
宗一郎さんはガイドブックを見て、「ふーん」と言うと、自分でページをめくりだした。
「……周囲にも色々な名所があって、混みそうだな……」
そりゃそうでしょう、元旦だもん。
ただ人の波に押し流されていくだけのようなものだろうけど、でも地主神社に行きたい……。