この恋、国家機密なんですか!?
「えっと……どういう方たちのご旅行なんでしょうか?」
「官公庁。それだけしか伝わってきてない。任せたよ」
派遣会社のオッサン、いや上司すらも詳細を知らない、謎の官公庁の一団の慰安旅行を任された私。
言えないってことは、特殊なお偉いさん方なのかなあ、と私はため息をついた。
エライじじいたちほど、たちの悪いものはない……。
それでも必死の作り笑顔で迎えた彼らは、意外に若い人たちだった。
「班長、なんでせっかくの慰安旅行なのにアイツらが一緒なんですかあ~?」
私と同い年くらいのふわふわした茶髪の男の子が、隣にいた若作りをしているようなおじさんに聞く。
「しょうがないじゃないか、班全員で休みを取れるのが、ここしかなかったんだから。同じバス会社を利用するなら、一緒に行った方が経費削減になるからって、えらい人にごり押しされてさあ……」
おじさんはちらっと、近くにいた背の高い人の方を見た。
あら、イケメンさんだ!
私は少しテンションが上がる。
やっぱり、毎日ジジババを相手にしていると、たまに見るイケメンさんに反応してしまうなあ。
「高浜はいいだろうなあ、あっちに彼女がいるんだもんな。自由時間も一緒だし、夜こっそり抜け出して、あんなことやこんなことすんだろうな~!」
おじさんはイケメンさんの背中をバシバシたたく。