この恋、国家機密なんですか!?
豪華な夕食をつつきながら、私は湯気の向こうの宗一郎さんの顔色をうかがう。
のんびりした今なら、色々聞いても、大丈夫かな……。
「あの……お姉さん以外にご兄弟は?」
「ん?ああ、兄が二人。二個上と、四個上」
ってことは、四人兄弟。
「わあ、いいなあ……私一人っ子だから、うらやましい」
「うらやましがることない。比べられて嫌な思いをするだけだ」
「……」
そんな、身もふたもない。
ほのかに柚子の香りのするお鍋の中身をとりわけながら、私は質問を続ける。
「みなさん、お仕事は何をしてらっしゃるんですか?」
「総務省と、財務省」
ええええ!みんな超エリートじゃないかっ!!
ひいいいい~、本当にあるんだ、そんな華麗なる一族……。
「あの、ご両親は……?」
「母は主婦、父は……秘密」
出たよ出たよ、秘密!
もしかして、総理大臣とかものすごい人なのかも。
いや、今の総理、苗字が違うっけ。
それにしても、ちょっとすごい家族だなあ。
私が生きてきたのとは、まったく別世界の生活をしてきたんだろうな……。