この恋、国家機密なんですか!?
「……唯は?」
「え?」
「ご両親は、何をしてるひと?」
逆に聞き返されて、はっとした。
そういえば私も、そんな話、彼にしていなかったんだ。
「父は普通のサラリーマン……でした」
「でした?過去形か」
「ええと……実の父は母と離婚しているので。私は母方についていって、母は母で、新しい相手を見つけて再婚しました」
離婚なんて、今時驚くことじゃない。よくあることだ。
原因は性格の不一致で、私は我慢してまで両親に一緒にいてほしいとも思わなかった。
高校を辞めたばかりのころで、ゆっくり考える余裕もなかったのかもしれないけど。
母も仕事を持っていて、離婚から何年か経った頃、今のお父さんを連れてきた。
母より年下のその男性は、母に心底惚れているようだった。
また母も、その人に会ってから、とても幸福そうな顔をするようになっていた。
だから、別に再婚したければすればいいと言った。
母の女としての幸せを奪う権利は、私にはないのだから。
ただ……そうなれば、私が気軽に帰れる場所は、やはりなくなってしまった。
二人の愛の巣に居候している。邪魔している。
勝手にそんな気分になってしまった私は、家を出た。
そして、今に至る。