この恋、国家機密なんですか!?


別に仲が悪いわけじゃない。

新しい父親は若いけれど、とても気遣いができる優しい人だ。

私にも、家族としてよくしてくれる。


「ええとだから……新しい父も、サラリーマンです」

「そう」


宗一郎さんは静かに話を聞き、箸をおいた。

どうしたんだろう……まだ、ご飯いっぱい残ってるのに。

お酒も全然飲んでいないし、何かがおかしい。

もしかして、家族構成を聞いて、私に篠田家の嫁の資格はないと、そう思ったのかな。

セレブと一般庶民だもんね……。

勝手に妄想してしゅんとなっていると、宗一郎さんはゆっくりと話し始めた。


「一度会いたかった。とても魅力的なお母さんなんだろうな」


……会い、たかった……?


「……唯……」


少し暗くなった彼の声音に、胸が震える。

原因不明の不安に、黙ってうつむく。

聞きたくない。
この先は、聞いちゃいけないような気がする。

なのに、彼は話を再開する。




< 93 / 214 >

この作品をシェア

pagetop