この恋、国家機密なんですか!?
別に仲が悪いわけじゃない。
新しい父親は若いけれど、とても気遣いができる優しい人だ。
私にも、家族としてよくしてくれる。
「ええとだから……新しい父も、サラリーマンです」
「そう」
宗一郎さんは静かに話を聞き、箸をおいた。
どうしたんだろう……まだ、ご飯いっぱい残ってるのに。
お酒も全然飲んでいないし、何かがおかしい。
もしかして、家族構成を聞いて、私に篠田家の嫁の資格はないと、そう思ったのかな。
セレブと一般庶民だもんね……。
勝手に妄想してしゅんとなっていると、宗一郎さんはゆっくりと話し始めた。
「一度会いたかった。とても魅力的なお母さんなんだろうな」
……会い、たかった……?
「……唯……」
少し暗くなった彼の声音に、胸が震える。
原因不明の不安に、黙ってうつむく。
聞きたくない。
この先は、聞いちゃいけないような気がする。
なのに、彼は話を再開する。