この恋、国家機密なんですか!?
「……仕事の都合で、海外にいかなければならなくなった。期間は……決まっていない」
どくんと、心臓が跳ねる。
お仕事で……海外……って、そう言ったの……?
いつの間にか彼の顔からはいっさいの笑顔がなくなっていた。
「いつ、決まったの?」
「1週間前。いつ言おうかと思っていた」
「海外って、どこ?」
「それは言えない」
出た。また、「言えない」だ。
「期間が決まってないって、どういうこと?」
「……そのままの意味だ。いつ帰って来られるか、わからない」
宗一郎さんは立ち上がり、私の隣に移動した。
座り直し、私の顔を見ながら、続きを話す。
すごく、真剣なまなざしで。
「……だから……一度、この関係は終わりにしようと思う」
ゆっくりと、だけどきっぱりと言う口調には、迷いが感じられなくて。
私は目の前が暗くなっていく感覚にとらわれる。
「どう、して……」
喉が渇いたわけじゃないのに、声がかすれて、なかなか出てこない。
だけど、ここでうなずくわけにはいかない。
そんないい加減な気持ちじゃない。
「どうして?私、もう添乗員なんかやめる。宗一郎さんについていく!」
宗一郎さんのそでをつかむと、彼は眉をひそめた。