この恋、国家機密なんですか!?
7.事件と私
「そう……そういうわけで、帰ってきたのね」
「……うう……おかーさん……」
久しぶりに帰った実家のマンションは、何も変わっていなかった。
玄関やリビングに飾られた、母と新しい父のラブラブ写真が増えた以外は。
「なんだそいつ、おかしいんじゃねえの。訴えてやれ」
お正月の事情を聞いたお父さんは、ぷんぷんと憤慨した。
「あのねえ、結婚の約束をしたわけじゃないから、訴えたって相手にしてもらえないわよ」
「いや、相手はきっと、妻子がいるんだ。それを明らかにすれば……」
「その場合、不倫相手だった唯だって、相手の奥さんに訴えられる可能性があるわよ」
「そ、そうか……」
私よりたった10歳しか違わないお父さんは、年上のお母さんに言い負かされ、しゅんとしてしまった。
うーん、血がつながってない娘のためにそんなに怒ってくれるとは、いい人だなあ……。
3人でこたつに当たるのは、何年振りだろう。
久しぶりの帰郷なのに、玄関を開けて2分で号泣しだした私は、親不孝ものだ。
「しょうがないわねえ、相手が結婚しない主義の人だったってだけよ。唯が悪いわけじゃないんだから、そんな世界の終りみたいな顔しないの」