Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-
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「ほんっっっとにもう、どうしてエルマがこんな危ない目に遭わされなきゃいけないのよ!」
大食堂での件の、翌晩。
城壁にぴったりと背中をつけて座りこんだメオラは、小さく憤慨の声を上げた。
すると、「まだ危険な目には遭ってないだろ」と、壁から小さな声が返ってきた。
積み上げた石の隙間から、壁の向こうにいるラグの声が届いているのだ。
その日、メオラはラグにエルマのセダ行きのことを教えるために、エルマの部屋に花を飾らなかったのだ。
「これから遭うかもしれないじゃないの!」
「でもカルがついてる。エルマだって強いし、大丈夫だよ」
壁の向こうでラグがなだめるように言う。
(なによ、落ち着いたふりなんかしちゃって)
内心では気が気でないくせに、とメオラが口をとがらせると、見えていないはずなのにラグが壁の向こうで笑った。
「今日は不機嫌だなぁ。なにかあった?」
「なんでわかるのよ」そう訊くと、「なんとなく」と笑いを含んだ声音でラグは答える。
「兄さんはいつもそう」
「ほんっっっとにもう、どうしてエルマがこんな危ない目に遭わされなきゃいけないのよ!」
大食堂での件の、翌晩。
城壁にぴったりと背中をつけて座りこんだメオラは、小さく憤慨の声を上げた。
すると、「まだ危険な目には遭ってないだろ」と、壁から小さな声が返ってきた。
積み上げた石の隙間から、壁の向こうにいるラグの声が届いているのだ。
その日、メオラはラグにエルマのセダ行きのことを教えるために、エルマの部屋に花を飾らなかったのだ。
「これから遭うかもしれないじゃないの!」
「でもカルがついてる。エルマだって強いし、大丈夫だよ」
壁の向こうでラグがなだめるように言う。
(なによ、落ち着いたふりなんかしちゃって)
内心では気が気でないくせに、とメオラが口をとがらせると、見えていないはずなのにラグが壁の向こうで笑った。
「今日は不機嫌だなぁ。なにかあった?」
「なんでわかるのよ」そう訊くと、「なんとなく」と笑いを含んだ声音でラグは答える。
「兄さんはいつもそう」