Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-
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薄暗い部屋に、ランプの灯りがゆらりと揺れる。
カームの部屋に入ったエルマとラグは、促されるままに寝台に腰掛けた。
「それで、話とは?」
エルマが切り出すと、カームは「たいした話じゃない」と言った。
「エルマ、前に第二王子が言っていたな。おまえとルドリア姫の顔がそっくりなんだと」
「はい。だからわたしが姫の代わりに」
なぜ今さらそんなことを訊くのか、と不思議そうな顔をするエルマに、ラグが言う。
「それ、俺も気になってました。他人だったら、普通は本人と見間違えるほどに似るわけがない」
「そう」カームが頷く。
「他人じゃないかもしれない。ルドリア姫と」
「他人じゃ、ない? わたしが姫と血縁だとでも?」
冗談だろう、とでも言いたげなエルマに、しかしカームは頷いた。
「ずっと忘れてたんだが……エルマ、おまえは知らんだろうが、このイスラ半島には古い慣習があってな。ずっと昔、俺がまだガキの頃に聞いた話だ」
「古い、慣習……?」
薄暗い部屋に、ランプの灯りがゆらりと揺れる。
カームの部屋に入ったエルマとラグは、促されるままに寝台に腰掛けた。
「それで、話とは?」
エルマが切り出すと、カームは「たいした話じゃない」と言った。
「エルマ、前に第二王子が言っていたな。おまえとルドリア姫の顔がそっくりなんだと」
「はい。だからわたしが姫の代わりに」
なぜ今さらそんなことを訊くのか、と不思議そうな顔をするエルマに、ラグが言う。
「それ、俺も気になってました。他人だったら、普通は本人と見間違えるほどに似るわけがない」
「そう」カームが頷く。
「他人じゃないかもしれない。ルドリア姫と」
「他人じゃ、ない? わたしが姫と血縁だとでも?」
冗談だろう、とでも言いたげなエルマに、しかしカームは頷いた。
「ずっと忘れてたんだが……エルマ、おまえは知らんだろうが、このイスラ半島には古い慣習があってな。ずっと昔、俺がまだガキの頃に聞いた話だ」
「古い、慣習……?」