Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-
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――守れなかった。
きっと、エルマはそう思っているんだろうな。
ラシェルの寝顔を見ながら、メオラはそう思った。
エルマのせいじゃないのに。
呟きながら、メオラは眠るラシェルの頬を指で弾いてみる。
それでも目を覚まさないラシェルに、ほんのすこし落胆した。
顔色の悪い真っ白な寝顔が、痛い。
ついさっきやっと規則正しくなった寝息を、もう何回数えただろう。
そっと、メオラはラシェルの袖をつかむ。
――在るべきものがなく、からっぽの袖を。
あなたが悪いんだからね、と、メオラは心の中でラシェルを責める。
あなたが敵に変な同情をするから。ほんと、バカ。
しばらくそうしてラシェルをなじっていたが、途中でむなしくなってやめた。
頭をからっぽにしてじっとしていると、外のざわめきがやけに大きく聞こえる。
今メオラがいるのは、ギドの屋敷だ。
あの後すぐにラグがラシェルを屋敷に運んで医者を呼ばせ、ラシェルは一命を取りとめた。
昼中ずっと熱と痛みに苦しんでいたラシェルが、夕方になってようやく落ち着いて眠りに落ちた後、メオラだけがこの部屋に残って他の者は皆出て行ってしまった。
ラグがラシェルよりも蒼白になったエルマを連れ出し、カルは自分も医者にみてもらいに行ったのだ。
――守れなかった。
きっと、エルマはそう思っているんだろうな。
ラシェルの寝顔を見ながら、メオラはそう思った。
エルマのせいじゃないのに。
呟きながら、メオラは眠るラシェルの頬を指で弾いてみる。
それでも目を覚まさないラシェルに、ほんのすこし落胆した。
顔色の悪い真っ白な寝顔が、痛い。
ついさっきやっと規則正しくなった寝息を、もう何回数えただろう。
そっと、メオラはラシェルの袖をつかむ。
――在るべきものがなく、からっぽの袖を。
あなたが悪いんだからね、と、メオラは心の中でラシェルを責める。
あなたが敵に変な同情をするから。ほんと、バカ。
しばらくそうしてラシェルをなじっていたが、途中でむなしくなってやめた。
頭をからっぽにしてじっとしていると、外のざわめきがやけに大きく聞こえる。
今メオラがいるのは、ギドの屋敷だ。
あの後すぐにラグがラシェルを屋敷に運んで医者を呼ばせ、ラシェルは一命を取りとめた。
昼中ずっと熱と痛みに苦しんでいたラシェルが、夕方になってようやく落ち着いて眠りに落ちた後、メオラだけがこの部屋に残って他の者は皆出て行ってしまった。
ラグがラシェルよりも蒼白になったエルマを連れ出し、カルは自分も医者にみてもらいに行ったのだ。