Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-
14
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処刑場の広場はすでに見物に来た民衆に囲まれていた。
乾いた空気とむせ返る人の熱気に包まれて、エルマは付き人に促されるままに、用意された王族貴族用の席に腰掛けた。
その後ろに、カルとフシルが黙って控える。
レガロとイロもすでに到着して席に座っていた。
他にも顔の知らない貴族たちが大勢いる。
二人の兵に両腕をがっちりと抑えられて、リヒターが処刑場へ歩いてきたのは、エルマが到着して間もない頃だった。
リヒターは黙ったまま処刑台の前まで来て、ちらりとエルマを見る。
そうして、いつもの柔らかい笑みを浮かべた。
エルマは膝に添えた指先にぎゅっと力を込めた。
そうやって全身を硬直させないと、走り出してリヒターを逃がそうとしてしまいそうになる。
処刑台の前にリヒターが立ったのを見て、イロがスッと立ち上がった。
そうしてリヒターの数歩前まで行くと、手に持った黒い筒から丸めた羊皮紙を取り出した。
処刑場の広場はすでに見物に来た民衆に囲まれていた。
乾いた空気とむせ返る人の熱気に包まれて、エルマは付き人に促されるままに、用意された王族貴族用の席に腰掛けた。
その後ろに、カルとフシルが黙って控える。
レガロとイロもすでに到着して席に座っていた。
他にも顔の知らない貴族たちが大勢いる。
二人の兵に両腕をがっちりと抑えられて、リヒターが処刑場へ歩いてきたのは、エルマが到着して間もない頃だった。
リヒターは黙ったまま処刑台の前まで来て、ちらりとエルマを見る。
そうして、いつもの柔らかい笑みを浮かべた。
エルマは膝に添えた指先にぎゅっと力を込めた。
そうやって全身を硬直させないと、走り出してリヒターを逃がそうとしてしまいそうになる。
処刑台の前にリヒターが立ったのを見て、イロがスッと立ち上がった。
そうしてリヒターの数歩前まで行くと、手に持った黒い筒から丸めた羊皮紙を取り出した。