Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-


 ルイーネへ行かせたアルの仲間の報告によると、ルドリアは王宮内にいるという。


近頃頻繁に王宮に出入りしている馬車をつけたところ、中からルドリアが降りてくるのを見たのだそうだ。



 そのことをラシェルに話したとき、エルマはすぐに「わたしが話をつけにいく」と申し出た。



 ルドリアが王宮を出入りしているということは、ルイーネへ王家側は、すでにシュタインのルドリアが偽物であると知っている。



それでも何かしらの動きがないのは何故なのか、そもそもなぜルドリアがルイーネにいるのか。



エルマはまず、ラシェルの私使として、ルイーネ王家に事情の説明を求めに行く。



――エルマの生まれ故郷かもしれない、ルイーネへ。



 ルドリアがルイーネにいる理由がわからないので、シュタインからの使いにルイーネがどういう態度に出るかが予測できないのが一番の問題だった。



だからこそ、当の「偽物」であるエルマ自身がルイーネへ赴くことにラシェルは反対したが、今自由に動けるのがエルマだけであるために仕方ないと言いくるめた。



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