Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-
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シュタイン王城から馬で駆けること、ほぼ丸一日。
ようやく国境の街にたどり着いたエルマは、その有様に愕然とした。
一見すると、普通の街だ。だが、街の空気が重かった。
よく見れば、至る所で罵り合いの喧嘩が勃発していた。
ある所ではルドリア失踪の責の全てはルイーネにあると演説する者もあった。
エルマはリアから降りて、深くうつむきながら歩いた。
髪色を見られてはまずいからだ。
ラグはその手を引きながら宿屋を探していた。
「エルマ、あそこへ入ろう」
ラグが言って指差した先を、エルマが見る。
ずいぶんと立派な門構えで、馬屋もついた宿だ。
宿代はかなり高そうだが、それはラシェルからもらっていたから心配はなかった。
そうだな、と、エルマが頷きかけたとき。
一陣、強い風が吹いた。マントのフードがふわりと浮く。
頭が露わになる前に、エルマは慌ててフードを押さえつけた。
だがそのはずみで髪が一房フードから出てしまった。
シュタイン王城から馬で駆けること、ほぼ丸一日。
ようやく国境の街にたどり着いたエルマは、その有様に愕然とした。
一見すると、普通の街だ。だが、街の空気が重かった。
よく見れば、至る所で罵り合いの喧嘩が勃発していた。
ある所ではルドリア失踪の責の全てはルイーネにあると演説する者もあった。
エルマはリアから降りて、深くうつむきながら歩いた。
髪色を見られてはまずいからだ。
ラグはその手を引きながら宿屋を探していた。
「エルマ、あそこへ入ろう」
ラグが言って指差した先を、エルマが見る。
ずいぶんと立派な門構えで、馬屋もついた宿だ。
宿代はかなり高そうだが、それはラシェルからもらっていたから心配はなかった。
そうだな、と、エルマが頷きかけたとき。
一陣、強い風が吹いた。マントのフードがふわりと浮く。
頭が露わになる前に、エルマは慌ててフードを押さえつけた。
だがそのはずみで髪が一房フードから出てしまった。