Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-
これまでずっと黙っていたラグが急に話しだしたのを、ディネロは驚いたような顔でただ黙って聞いていた。
「信じろ、というのであれば、それくらいの誠意は見せてくれますよね?」
ラグにしては珍しく挑発的な物言いをする。
驚くエルマに、一足先に驚きから立ち直ったディネロが追い打ちをかける。
「妹よ、……この者は、おまえの恋人か何かか?」
「こっ……!?」
その問いに、エルマは奇妙な声を上げ、そのはずみで咽せて咳き込んだ。
その顔がみるみるうちに赤くなっていく。
ラグが慌ててエルマの背中をさするが、そんなラグも微妙に顔が赤い。
しばらくして落ち着いたエルマは、ちらりとラグの顔を見上げると。
「……まあ、わたしは……そんなところだと、思ってます……」
と、なぜかむくれたような顔をして、低く小さな声で言った。