Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-
終章 そして、それぞれの道へ
*終章 そして、それぞれの道へ*
「二人とも、早く来い!」
急な坂を木々につかまりながらひょいひょいと登り、エルマは振り返って言った。
「あいつ……腹に子がいるとは思えない猿っぷりだな」
「たぶん聞こえてるよ、カル」
珍しくはしゃいだ様子のエルマを呆れ顔で見上げたカルに、苦笑しながらラグが言う。
セナの森の真ん中。
道のない、標のない森の中。
それでも三人の歩みに迷いはない。
三人は、昨夜の狩りの際にラグが見つけた小高い丘の上を目指していた。
「ラグ、まだ登るのか?」
俺はそろそろ疲れてきたぞ、と、ぼやくカルに、ラグは小さな声で「これだから年寄りは……」とつぶやく。
「うっせーよ、まだ二十三だ」と、カルがラグを睨みつけたそのとき。
「カル、ラグ、見えたぞ!」
「二人とも、早く来い!」
急な坂を木々につかまりながらひょいひょいと登り、エルマは振り返って言った。
「あいつ……腹に子がいるとは思えない猿っぷりだな」
「たぶん聞こえてるよ、カル」
珍しくはしゃいだ様子のエルマを呆れ顔で見上げたカルに、苦笑しながらラグが言う。
セナの森の真ん中。
道のない、標のない森の中。
それでも三人の歩みに迷いはない。
三人は、昨夜の狩りの際にラグが見つけた小高い丘の上を目指していた。
「ラグ、まだ登るのか?」
俺はそろそろ疲れてきたぞ、と、ぼやくカルに、ラグは小さな声で「これだから年寄りは……」とつぶやく。
「うっせーよ、まだ二十三だ」と、カルがラグを睨みつけたそのとき。
「カル、ラグ、見えたぞ!」