Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-
とりあえず、「そうだよ。彼女は本来ならば無関係だった」と答えた。
もしかしたら、カルはメオラがエルマについていくことを、好ましく思っていないのかもしれない。
そう思った矢先、カルが突然まっすぐにリヒターを見て、まったく予想外の言葉を放った。
「なら、俺も巻き込まれさせてくれないか」
その言葉に、リヒターはまず目を見張った。
次に苦笑が漏れた。
――そういうことか。
エルマがアルを去ることを憂えているのでも、メオラがエルマに巻き込まれたことを憤っているのでも、決してない。
彼は、自分もエルマと共に王城に行きたいと言っているのだ。
それはただ、二人に追いすがりたいというのではないのだろう。
その愚直な眼には、何かしらの一途な思いが浮かんでいる。
それが何か、リヒターは気になって尋ねた。
「なぜ、二人について行こうとする?」
リヒターの問いに、カルは「決まってる」と吐き捨てるように言った。
「エルマを守るためだ。ついでにメオラもな」
単純明快なその答えが快くて、リヒターはにやりと笑った。