ラスト・ジョーカー



 とたん、ゼンとアレンは二人そろって怪訝な顔をした。


だが、二人がなにか言う前にエルは続ける。



「あと三日くらいで〈ハナブサ〉に着くんでしょう? だったらあたし平気。嫌われて恐れられて避けられたって、たったの三日だもの、平気よ。

あの人たちがあたしを仲間に入れるのが嫌だって言うなら、あたしがいれば砂漠生物から守ってあげられるって交渉すればいい。

モウセンゴケからあの人たちを守ってあげた恩を着せてもいい。それでもダメなら、ゼンとアレンだけでも……」



「ちょっと待てって!」



 立て板に水を流したようにべらべらと話し続けるエルを、ゼンが遮った。



「おまえはそれでいいのかよ。化け物扱いされて、平気なわけないだろ!」


「平気よ」


「で、でもエルちゃんさん……」


「平気」



 エルは馬鹿の一つ覚えのように繰り返した。


そしてゼンとアレンの顔を見て、微笑む。――心底嬉しそうな笑顔で。



「本当に、あたし平気よ? あのね、ゼン、アレン、ありがとう。

ゼンがあたしの気持ちわかって気づかってくれただけで、あたし嬉しいから。

だから、あの人たちと三日間一緒にいるくらい、なんでもないの」



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