ラスト・ジョーカー
第五章 二人のひとりぼっち
1
*第五章 二人のひとりぼっち 1*
白い床、白い壁、白いベッド。
目が覚めたとき、すべてが真っ白な、まるで病室のような部屋にエルはいた。
ふかふかのベッドの中で身じろぎすると、頭がずきりと痛んだ。
その痛みで、眠る前の出来事が頭によみがえる。
アレンに捕らえられて車に乗せられた後、エルは近くの転送塔から〈トランプ〉ハート本部に連れて行かれた。
ゼンがどこかへ連れて行かれそうになっていたので助けようとして暴れたところ、ウォルターに注射を打たれて――その後の記憶がない。
おそらく鎮静剤でも打たれて、この部屋に運び込まれたのだろう。
「あたし、どれくらい寝てたんだろう……」
窓からどこか知らない街並みが見える。
空高く太陽が登っているから、きっと朝か昼くらいだろう。
〈トランプ〉に連れて来られたときには夕方だったから、確実に一日以上は経っている。
エルはベッドから降りて、部屋の中を歩き回った。
リノリウムの冷たい床に触れた裸足がペタペタと音を立てる。
窓のガラスははめ殺しで開閉ができず、特別なガラスを使っているのか強く叩いてみてもびくともしない。
次に唯一のドアは外から鍵がかけられて出られない。
白い床、白い壁、白いベッド。
目が覚めたとき、すべてが真っ白な、まるで病室のような部屋にエルはいた。
ふかふかのベッドの中で身じろぎすると、頭がずきりと痛んだ。
その痛みで、眠る前の出来事が頭によみがえる。
アレンに捕らえられて車に乗せられた後、エルは近くの転送塔から〈トランプ〉ハート本部に連れて行かれた。
ゼンがどこかへ連れて行かれそうになっていたので助けようとして暴れたところ、ウォルターに注射を打たれて――その後の記憶がない。
おそらく鎮静剤でも打たれて、この部屋に運び込まれたのだろう。
「あたし、どれくらい寝てたんだろう……」
窓からどこか知らない街並みが見える。
空高く太陽が登っているから、きっと朝か昼くらいだろう。
〈トランプ〉に連れて来られたときには夕方だったから、確実に一日以上は経っている。
エルはベッドから降りて、部屋の中を歩き回った。
リノリウムの冷たい床に触れた裸足がペタペタと音を立てる。
窓のガラスははめ殺しで開閉ができず、特別なガラスを使っているのか強く叩いてみてもびくともしない。
次に唯一のドアは外から鍵がかけられて出られない。