ラスト・ジョーカー
5
*第一章 この命は誰のもの 5*
ゼンが出ていった後、エルはリビングの壁にもたれて、じっと座っていた。
頭の中では、ゼンの言ったことが何度も何度も繰り返されている。
殺さなきゃいけないやつがいる。
それは誰のことなのだろうか。
もちろんそれはエルの知らない人なのだろうが、ならばなぜ、エルがその人物を殺すために必要なのだろうか。
ゼンは、エルをどうもしないと言った。
だが、それが嘘だとしても、本当だとしても、ゼンの目的のためにエルが必要なのだとしたら、エルは。
(あたしは、人殺しの手助けを、させられるのかな)
ワンピースのポケットをまさぐって、その中からエルは一枚の鱗を取り出した。
それは、最後にローレライと話したときにもらった、銀色に輝く、ローレライの鱗だ。
『いや?』
その鱗に、問われたような気がした。
その幻の声に誘われて、エルの記憶は時を遡る。
エルはそれに身を委ねるように、そっと目を閉じて、膝に顔を埋めた。
あれは確か、半年ほど前のこと。
いつまでここにいればいいのだろう、と、ローレライに言ったことがある。
いつまで、檻の中にいればいいのだろう、と。
ゼンが出ていった後、エルはリビングの壁にもたれて、じっと座っていた。
頭の中では、ゼンの言ったことが何度も何度も繰り返されている。
殺さなきゃいけないやつがいる。
それは誰のことなのだろうか。
もちろんそれはエルの知らない人なのだろうが、ならばなぜ、エルがその人物を殺すために必要なのだろうか。
ゼンは、エルをどうもしないと言った。
だが、それが嘘だとしても、本当だとしても、ゼンの目的のためにエルが必要なのだとしたら、エルは。
(あたしは、人殺しの手助けを、させられるのかな)
ワンピースのポケットをまさぐって、その中からエルは一枚の鱗を取り出した。
それは、最後にローレライと話したときにもらった、銀色に輝く、ローレライの鱗だ。
『いや?』
その鱗に、問われたような気がした。
その幻の声に誘われて、エルの記憶は時を遡る。
エルはそれに身を委ねるように、そっと目を閉じて、膝に顔を埋めた。
あれは確か、半年ほど前のこと。
いつまでここにいればいいのだろう、と、ローレライに言ったことがある。
いつまで、檻の中にいればいいのだろう、と。