ラスト・ジョーカー
苦しげに吐き出したアレンの言葉に、スメラギは――。
いともあっさりと、頷いた。
「ああ、逃がせ。できるだけ目立たないように、……芽利加に気づかれないように」
「へ?」
アレンはもちろん、エルもゼンも、きょとんとしてスメラギを見た。
だが、スメラギはいたって真面目な顔をしている。
わけがわからず目が点になっているアレンに、スメラギは右腕を重たそうに持ち上げて、布団をめくった。
露わになった半裸の体には、腹から胸にかけて何重にも包帯が巻いてある。
「局長、それ……」
「芽利加に撃たれた」
「え……、芽利加さん?」
スメラギの言葉にアレンは目を見張る。
だが、エルとゼンはなんのことだかさっぱりわからない。
「あのー」と、エルが遠慮がちに声をかけた。
「芽利加、さん……って、誰なの?」
「ハートのクイーン。……副局長だ」
答えたのはスメラギだった。
「あいつは不老不死を欲している。L146号、我々〈トランプ〉は文明復興機関だが、不老不死だけは蘇らせてはならないという理念の下で動いていることは知っているか」
「いえ……」
「不老不死は……あんなものはこの世にあってはいけない。私の部下がどういう目的で不老不死を得ようとしているのか知らないが、絶対にそれだけは阻止せねばならない」