ラスト・ジョーカー
7
*第五章 二人のひとりぼっち 7*
先に動きを見せたのはゼンだった。
相楽と相楽の家を結界で囲むと、エルの手首をつかんですばやく走り出す。
「ゼン、どこへ……っ」
「エリアの外に出る。ウォルターにエリアのなかで暴れられたらまずい!」
その言葉に、エルも頷いて走る。
「あらあら、逃げるのかしら?」と挑発する芽利加に構わず、ゼンが結界に穴を開けて二人はエリアの外へ出た。芽利加とウォルターもそれを追う。
エリアの外に出ると冷たい風が頬を打った。
その風はエルたち二人がどの方向へ行こうと、真正面から吹いて二人の歩みを止めようとする。
おかしい、と思ったのはエルだけではないようだ。
ゼンも眉をひそめた。
「芽利加かウォルターが空気の流れを操ってるのか。さすがは〈トランプ〉だな。優秀なサイキックがわんさかいる」
「感心してる場合じゃないでしょ!」
怒鳴りながらも、エルはゼンの手を引いて飛来して来る石つぶてを避ける。
さきほどからPKでエルたちに攻撃をしかけているのは、どうやらウォルターだけのようだ。
芽利加は宙に浮いたまま、腕を組んでじっとエルとゼンを見ている。
(芽利加はPKが使えないのかな……)
そう思った、矢先のことだ。
芽利加がウォルターに目配せをした。
すると、ウォルターが宙に手をかざす。
と同時に、とてつもない勢いの突風が吹いてエルたちを吹き飛ばした。
先に動きを見せたのはゼンだった。
相楽と相楽の家を結界で囲むと、エルの手首をつかんですばやく走り出す。
「ゼン、どこへ……っ」
「エリアの外に出る。ウォルターにエリアのなかで暴れられたらまずい!」
その言葉に、エルも頷いて走る。
「あらあら、逃げるのかしら?」と挑発する芽利加に構わず、ゼンが結界に穴を開けて二人はエリアの外へ出た。芽利加とウォルターもそれを追う。
エリアの外に出ると冷たい風が頬を打った。
その風はエルたち二人がどの方向へ行こうと、真正面から吹いて二人の歩みを止めようとする。
おかしい、と思ったのはエルだけではないようだ。
ゼンも眉をひそめた。
「芽利加かウォルターが空気の流れを操ってるのか。さすがは〈トランプ〉だな。優秀なサイキックがわんさかいる」
「感心してる場合じゃないでしょ!」
怒鳴りながらも、エルはゼンの手を引いて飛来して来る石つぶてを避ける。
さきほどからPKでエルたちに攻撃をしかけているのは、どうやらウォルターだけのようだ。
芽利加は宙に浮いたまま、腕を組んでじっとエルとゼンを見ている。
(芽利加はPKが使えないのかな……)
そう思った、矢先のことだ。
芽利加がウォルターに目配せをした。
すると、ウォルターが宙に手をかざす。
と同時に、とてつもない勢いの突風が吹いてエルたちを吹き飛ばした。