ラスト・ジョーカー

*第五章 二人のひとりぼっち 8*



「え……っと、うん、久しぶり」



 あまりに唐突なアレンの登場に、呆気に取られたままエルは応えた。



 ちなみに、久しぶりではない。


エルたちがエリア〈シロガネ〉を出てから、まだ一日半しか経っていない。



「アレン、どうしてここに?」



 そう尋ねたエルに、アレンは笑ってエルの背後を見た。



 つられてエルも振り向き、そして目を見張った。



 そこにいたのは、スメラギと――。



「……え、カンパニュラ?」



「ええ、そうよ」



 答えたのはスメラギの隣に立った女だった。


真っ白な長い髪に、同じ色のワンピース。


深い黒曜の瞳。神秘的な美しさをたたえた微笑み。


そこまではエルの記憶にある少女の姿と寸分違わない。――だが。




「えっと、……すごく成長してるような気がするんだけど」



 最後に見たときには十歳前後の少女だったはずなのに、目の前のカンパニュラは、なぜだか二十も半ばの女性の姿をしていた。



「最近はPKを使いすぎてしまったから、一気に老けてしまって。ほら、ワープなんて特に体力を使うから。驚いた?」



 うふふ、と笑ってみせるカンパニュラに、エルはただただ呆然として何も言えなかった。



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