ラスト・ジョーカー
11
*第五章 二人のひとりぼっち 11*
晴れ渡った空には雲一つなく、澄んだ蒼色が一面に広がっていた。
あれほど禍々しく立ち込めていた黒いもやは一片も残らず消え去り、空の青と砂の白の世界のなかに、エルとゼンは二人、立っていた。
すこし離れたところから、アレンが大きく手を振って駆け寄ってくる。
その後ろから歩いてくるのは、苦笑したスメラギと安心したような顔のカンパニュラ。
ウォルターはスメラギの指示で、意識のないままの芽利加を抱えてエリアの中へ行ってしまった。
おそらく、病院に連れて行くのだろう。
「二人とも、無事でよかった」
そう言って笑ったアレンだが、その声が心なしか湿っている。
なんだかんだ言って二人を心配していたのだ。
「本当に、どうなることかと思ったわ」
追いついたカンパニュラがにこにこと笑って言う。
それにスメラギは頷き、
「結局、生きることにしたのか」
と、ゼンに言った。
「まあな」
「では、……もう秘術に用はないのか」
その言葉に、全員が一斉にスメラギを見た。
――スメラギが何を言いたいか、わからない者はいない。
「おれには、もう秘術は必要ない。……あとはエルに訊けよ」
そう言ったゼンの言葉に従って、スメラギはエルに向き直る。
「母のために、歌ってくれないか」
晴れ渡った空には雲一つなく、澄んだ蒼色が一面に広がっていた。
あれほど禍々しく立ち込めていた黒いもやは一片も残らず消え去り、空の青と砂の白の世界のなかに、エルとゼンは二人、立っていた。
すこし離れたところから、アレンが大きく手を振って駆け寄ってくる。
その後ろから歩いてくるのは、苦笑したスメラギと安心したような顔のカンパニュラ。
ウォルターはスメラギの指示で、意識のないままの芽利加を抱えてエリアの中へ行ってしまった。
おそらく、病院に連れて行くのだろう。
「二人とも、無事でよかった」
そう言って笑ったアレンだが、その声が心なしか湿っている。
なんだかんだ言って二人を心配していたのだ。
「本当に、どうなることかと思ったわ」
追いついたカンパニュラがにこにこと笑って言う。
それにスメラギは頷き、
「結局、生きることにしたのか」
と、ゼンに言った。
「まあな」
「では、……もう秘術に用はないのか」
その言葉に、全員が一斉にスメラギを見た。
――スメラギが何を言いたいか、わからない者はいない。
「おれには、もう秘術は必要ない。……あとはエルに訊けよ」
そう言ったゼンの言葉に従って、スメラギはエルに向き直る。
「母のために、歌ってくれないか」