ラスト・ジョーカー
「霊力、呪力、魔力、神通力、念力、超能力……いろんな言い方があるが、全部同じものだ。
物を触れずに動かしたり、念じるだけで壊したり、対象の物質に触れることなく、意識だけで対象になんらかの影響を及ぼすことができ、
その力の強度や精度次第で、結界を張ったり、空間を曲げることもできる。
昼にカンパニュラがやったワープも、その応用だ。
といっても、力には限界があるし、力を使うにはその負荷に耐えられるだけの体力がいる。
力を使いすぎると寿命が縮む。
だから、ワープなんて大技は、一人の生身の人間ができることじゃない。
異形を作るのでさえ、十人以上のサイキックが必要なんだ」
ちょっと待って、とエルは口を挟んだ。
「異形は、サイコキネシスで作るの?
あたしは以前、科学者がその技術を駆使して作ると聞いたことがあるんだけど」
一つ頷いて、ゼンはまた話し出した。
「それも間違いじゃない。異形は科学技術と高精度なPKの合わせ技で作られる。
と、言われている。おれはやり方は知らないが」
ゼンはそこでひとつため息をつくと、「おまえには時を追って説明したほうがいいかもな」と呟いた。
「時を追って、って?」