ラスト・ジョーカー

*第三章 銀の鈴 2*


 地鳴りのような音を聞いた気がして、エルは目を開けた。


眠い目をこすって身を起こし、あたりを見渡すと、少し離れたところで寝ていたはずのゼンが、エルに背を向けて立っていた。



「ゼン、どうしたの?」



 声をかけると、ゼンは厳しい顔で振り向いて、「聞こえるか」と言った。



「聞こえるわ。それで目が覚めたの。なんだか、地鳴りみたいな音。

地の底で、なにか大きなものが動いているみたいな」



 エルがそう答えると、ゼンはやけに切迫した声で、「近いか」と訊いた。



 エルは眉をひそめて耳に神経を集中させ、やがて首を横に振った。



「ううん。まだ遠い、と思う。でも、近づいてきてる。けっこう速いよ」



 ゼンは「そうか」と呟いた。


――夜になればわかる。



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