ラスト・ジョーカー

　この静かな砂漠をずっと進んできたせいか、その賑やかな音はどこか懐かしい。


誰か、女の子が楽しそうに笑う声。


男たちが剣を打ち合う音。


母親が子供を叱りつける声。


火がバチバチと燃える音。


馬のいななき。


それに混じって、地の底でなにかがうごめく音。



　それは、つい先日聞いた音だ。



　エルはパッと立ち上がってゼンの腰に差したナイフをひったくると、

「ごめん、あたし先に行ってるね！」

　と言い置いて駆け出した。



「えっ、……おい！」



　ゼンが慌てたように呼びとめるが、エルは止まらない。


ゼンは苦い顔で舌打ちを一つすると、エルを追って走り出した。


その後にアレンも続く。



「おいっ！ いきなりどうしたんだよ！」



　エルの背中にゼンがそう怒鳴ったとき。



　三人の向かう先から、唐突に、盛大な爆発音とともに砂柱が勢いよく立ち上った。


こぼれ落ちる砂の隙間から見えるのは、緑色の巨大な――。