Black Road



「あ!
谷せんせーじゃないですかぁっ、」



特に理由もなかったが、
反射的に

今はじめて先生の存在に
気づいたフリをした。








「…お前、こんな時間に何してんの?」




「あぁ、ちょっと遊びに行ってたら遅くなっちゃって…」





先生と会話しつつも、


あたしの視線は自然と
先生と一緒にいる女の人の方へ向いてしまう。









美人だな…









やっぱり、





彼女…だよね...っ。










そんなことを考えていたら、

涙腺がゆるんで、なんだか…
涙が出そうになった。











「先生…彼女?」





気持ちをまぎらわすために、

必死で笑顔を作った。







< 80 / 89 >

この作品をシェア

pagetop