Black Road
「あ!
谷せんせーじゃないですかぁっ、」
特に理由もなかったが、
反射的に
今はじめて先生の存在に
気づいたフリをした。
「…お前、こんな時間に何してんの?」
「あぁ、ちょっと遊びに行ってたら遅くなっちゃって…」
先生と会話しつつも、
あたしの視線は自然と
先生と一緒にいる女の人の方へ向いてしまう。
美人だな…
やっぱり、
彼女…だよね...っ。
そんなことを考えていたら、
涙腺がゆるんで、なんだか…
涙が出そうになった。
「先生…彼女?」
気持ちをまぎらわすために、
必死で笑顔を作った。