愛を知る小鳥
8 離さない
「___はぁ、疲れたな…」
ソファーの背もたれにドサッと体を投げ出すと、潤は天を仰いで目を閉じた。
…あれから、美羽の態度は頑ななままだった。仕事は完璧にこなしている。だが言い換えればそれだけだ。まるで機械のように感情というものが抜け落ちてしまっていた。
何故彼女は急に変わった?
あの日何か忌々しいもの、もとい「者」を見たことに違いはないだろう。だがしかし、それと自分を突然拒絶するようになったことがどうしても繋がらない。少しずつではあるが彼女との信頼は着実に築き上げられてきていたはずだ。
一体何が彼女をそうさせてる_______?
潤は額に手を充てたまま、あの日の会議への参加者を思い出していた。
ピリリリリリリッ!
静寂の中突然携帯の音が鳴り響く。
潤は目を閉じたまま手を伸ばし、スマホを手にすると静かに口を開いた。
「はい」
『………………』
「…もしもし?」
出たはいいものの一向に声が聞こえてくる気配はなく、怪訝に思いながら眉をひそめて体を起こす。
「もしもし?」
液晶を見ないまま出てしまったため相手がわからない。変わらず何も聞こえないことに苛立ちを覚えた潤は、いたずらだと判断しそのまま切ろうとした。
『…………て』
その時、微かに声が聞こえてきた。
「…何?」
『…けて………たすけて…』
聞こえるか聞こえないかほどの小さな声を聞いた瞬間、潤は頭を殴られたような衝撃を受けて立ち上がった。
「香月っ? 香月なのか?! どうした! 何かあったのか!」
『…たすけて…』
「お前今どこにいるんだ!」
美羽の言葉は今彼女が置かれている状況が普通ではないことを如実に語っていた。潤はとてつもない恐怖心を抱えながら、弾かれたように部屋から飛び出していった。
ソファーの背もたれにドサッと体を投げ出すと、潤は天を仰いで目を閉じた。
…あれから、美羽の態度は頑ななままだった。仕事は完璧にこなしている。だが言い換えればそれだけだ。まるで機械のように感情というものが抜け落ちてしまっていた。
何故彼女は急に変わった?
あの日何か忌々しいもの、もとい「者」を見たことに違いはないだろう。だがしかし、それと自分を突然拒絶するようになったことがどうしても繋がらない。少しずつではあるが彼女との信頼は着実に築き上げられてきていたはずだ。
一体何が彼女をそうさせてる_______?
潤は額に手を充てたまま、あの日の会議への参加者を思い出していた。
ピリリリリリリッ!
静寂の中突然携帯の音が鳴り響く。
潤は目を閉じたまま手を伸ばし、スマホを手にすると静かに口を開いた。
「はい」
『………………』
「…もしもし?」
出たはいいものの一向に声が聞こえてくる気配はなく、怪訝に思いながら眉をひそめて体を起こす。
「もしもし?」
液晶を見ないまま出てしまったため相手がわからない。変わらず何も聞こえないことに苛立ちを覚えた潤は、いたずらだと判断しそのまま切ろうとした。
『…………て』
その時、微かに声が聞こえてきた。
「…何?」
『…けて………たすけて…』
聞こえるか聞こえないかほどの小さな声を聞いた瞬間、潤は頭を殴られたような衝撃を受けて立ち上がった。
「香月っ? 香月なのか?! どうした! 何かあったのか!」
『…たすけて…』
「お前今どこにいるんだ!」
美羽の言葉は今彼女が置かれている状況が普通ではないことを如実に語っていた。潤はとてつもない恐怖心を抱えながら、弾かれたように部屋から飛び出していった。