愛を知る小鳥

また、だ……またあの夢の中にいる
それともこっちが現実なんだろうか?
もう夢と現実の境界線もわからなくなってきた

足掻いて、藻掻いて、必死で底なし沼から抜け出そうと抗ってきたけれど
なんだかもう疲れてしまった
このまま闇の中に身を委ねてしまった方がいっそのこと楽になれるかもしれない

…ほら、あそこで悪魔が手招きしている
お前の堕ちてくるところはここだよって
私の行くべき道は本当はこっちが正しいのではないの…?
このまま、流れゆくままにいってしまおうか…




『 …ぅ 』

………え?

『 …みう… 』

……誰?

『 美羽、こっちへおいで 』

…誰? 誰がいるの? どこにいるの?

『 こっちへおいで 』

わからない。どこにいるの? 真っ暗で何も見えないよ


その時、一筋の小さな光が射し込んできた。


誰なの…? そこにいるの…?

『 こっちだよ… 』

ねぇ待って…! 置いていかないで! 私を連れて行って…!

『 ここにおいで 』

はぁはぁはぁ…この光は何…? お願い…そのまま消えないで…!

『 大丈夫だよ。…美羽を守るから 』





「 俺が必ず守るから 」




< 109 / 328 >

この作品をシェア

pagetop