愛を知る小鳥
「昨日、アパートが見えてきたところで人がいるのに気付いたんです…」
あれから何度も深呼吸をして自分を落ち着かせた美羽は、固い表情のまま意を決して話し始めた。その両手は潤にきつく握りしめられたまま。
「はじめは誰か待ち合わせをしている人だろうと思いました。遅い時間に変だなとは思ったんですが…」
潤は美羽の瞳を見つめたまま真剣な面持ちで聞いている。
「近づいてなんとなく顔が見えるようになったら…」
そこで美羽の顔がみるみる青ざめていく。
「美羽。大丈夫だ。大丈夫だよ」
握りしめていた手のひらを優しく撫でると、美羽は何度も深呼吸を繰り返し、1人納得したように頷いてから再び話し始めた。
「私、頭が真っ白になってしまって…どうしてここにいるんだろう、どうして、どうして? って。もう怖くて怖くて…。気がついたら彼はすぐ目の前にいて、腕を掴まれて…」
徐々に険しい顔になっていく。
「一瞬の隙をついて必死で逃げて、とにかく走って、走って…転んで…気がついたら専務に電話している自分がいました…」
「その男は何か言ってたか?」
「…仕事帰りに私の様子を何度か見てたって。だから私は怖くて怖くて___」
恐怖で震え始めた美羽を引き寄せると、腕の中に包み込んで背中を優しく摩り続けた。
「美羽…その男の名前は?」
ハッとして顔を上げる。潤は首を振ると美羽の頬に触れた。
「美羽。男がわかったからって今すぐどうこうするわけじゃない。ただ、相手がわからなければお前を守ることはできないんだ」
美羽は不安と戸惑いで揺れ動いていたが、一度目を閉じて大きく息を吐き出すと、大きなその目を開いて潤を見つめた。
「……そのだ…園田、雄生…」
あれから何度も深呼吸をして自分を落ち着かせた美羽は、固い表情のまま意を決して話し始めた。その両手は潤にきつく握りしめられたまま。
「はじめは誰か待ち合わせをしている人だろうと思いました。遅い時間に変だなとは思ったんですが…」
潤は美羽の瞳を見つめたまま真剣な面持ちで聞いている。
「近づいてなんとなく顔が見えるようになったら…」
そこで美羽の顔がみるみる青ざめていく。
「美羽。大丈夫だ。大丈夫だよ」
握りしめていた手のひらを優しく撫でると、美羽は何度も深呼吸を繰り返し、1人納得したように頷いてから再び話し始めた。
「私、頭が真っ白になってしまって…どうしてここにいるんだろう、どうして、どうして? って。もう怖くて怖くて…。気がついたら彼はすぐ目の前にいて、腕を掴まれて…」
徐々に険しい顔になっていく。
「一瞬の隙をついて必死で逃げて、とにかく走って、走って…転んで…気がついたら専務に電話している自分がいました…」
「その男は何か言ってたか?」
「…仕事帰りに私の様子を何度か見てたって。だから私は怖くて怖くて___」
恐怖で震え始めた美羽を引き寄せると、腕の中に包み込んで背中を優しく摩り続けた。
「美羽…その男の名前は?」
ハッとして顔を上げる。潤は首を振ると美羽の頬に触れた。
「美羽。男がわかったからって今すぐどうこうするわけじゃない。ただ、相手がわからなければお前を守ることはできないんだ」
美羽は不安と戸惑いで揺れ動いていたが、一度目を閉じて大きく息を吐き出すと、大きなその目を開いて潤を見つめた。
「……そのだ…園田、雄生…」