愛を知る小鳥
でも…でもっ! 男性と一緒に寝るなんて…!!
そのことにどうしても抵抗のある美羽は、ちらりと潤の様子を伺おうとした。

「っ…!」

いつの間にか腰を屈めて目の前まで顔を近づけていた彼がそこにいて、思わず悲鳴をあげそうになる。

「大丈夫だから。信じろ」

「_____」

たったそれだけ。それだけの短い言葉。
だけれど、何よりも心に真っ直ぐ入ってきた。
過去を克服するためにも…彼を信じることから始めてみよう。
美羽は自分に言い聞かせていた。

「じゃあ…ベッドが来るまでの間、よろしくお願いします」

「…とりあえずは、わかった」

その返答になんだかひっかかりを覚えつつも、こうして美羽の当座の寝床が決定した。




***


「おい、離れすぎだろ」

頭に怒りマークをつけた声が寝室に響き渡る。

「だっ、だって! そんなに近くとか無理です!」

ベッドサイドぎりぎりまで寄っている美羽は今にも落ちそうな状態だ。ダブルベッドなだけに中央寄りに寝ている潤とは不自然な距離ができていて、先程からもう幾度となくこの不毛なやりとりが続いているのだ。

「…わかった」

その言葉がようやく聞こえた途端、美羽はわかりやすくホッと息を吐き出した。
が、次の瞬間呼吸が止まる。

「ちょ、ちょっと?! 何されてるんですかっ!」

「お前が来ないなら俺が動くしかないだろ?」

しれっとそう言う潤は美羽の体にぴったり寄り添うように移動していた。それ以上横にずれることができない美羽は、一ミリたりとも身動きが取れない。

「この状態で寝てもいいけど、真ん中で寝る選択肢も与えてやるぞ。どっちがいい?」

「うっ…」

完全に潤のペースにはめられている美羽はそれ以上反論できず、渋々中央に寄って寝ることにした。
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