愛を知る小鳥
…寝不足の原因は決まっている。
互いの部屋で寝るようになってから早数日。美羽は連日の寝不足だった。毎日仕事で体は疲れているのに、なかなか寝付けない。なんとか眠ったと思っても長くせずして目が覚めてしまう。一晩中それを繰り返しているので、結局朝になっても疲れが取れるどころかむしろ増しているほどだ。
眠れないのは今までだってそうだった。だが今は決して悪夢が原因で眠れないわけではない。全く見ないわけではない。それでも「あの日」から連日連夜うなされ続けたことを考えれば、劇的な変化だと言えるだろう。
では何故?
そんなの決まってる。『彼』がいないから____
一度あの温もりと安心感を知ってしまったから、それがないと不安で眠れないのだ。だから深入りは危険だとわかっていたのに。
潤は美羽が連日寝不足なことに明らかに気付いているようだった。毎日何か言いたげな顔で見ている。だが敢えて気付かないふりをしている。気を使ってくれているのか、それとも____
手に持っていた書類を握りしめながら、美羽はまた溜息をついた。
**
その日の午後、お手洗いから戻ってくるとあかねが待ち構えていた。
「美羽ちゃん、さっき専務から内線が入って専務室まで来てくれって」
「え? はい、わかりました」
何だろう? 何か不手際でもあっただろうか。思い当たることがない美羽は少しの不安を抱きながら専務室へと足を運んだ。
だがその不安は違う形で的中することになる。
互いの部屋で寝るようになってから早数日。美羽は連日の寝不足だった。毎日仕事で体は疲れているのに、なかなか寝付けない。なんとか眠ったと思っても長くせずして目が覚めてしまう。一晩中それを繰り返しているので、結局朝になっても疲れが取れるどころかむしろ増しているほどだ。
眠れないのは今までだってそうだった。だが今は決して悪夢が原因で眠れないわけではない。全く見ないわけではない。それでも「あの日」から連日連夜うなされ続けたことを考えれば、劇的な変化だと言えるだろう。
では何故?
そんなの決まってる。『彼』がいないから____
一度あの温もりと安心感を知ってしまったから、それがないと不安で眠れないのだ。だから深入りは危険だとわかっていたのに。
潤は美羽が連日寝不足なことに明らかに気付いているようだった。毎日何か言いたげな顔で見ている。だが敢えて気付かないふりをしている。気を使ってくれているのか、それとも____
手に持っていた書類を握りしめながら、美羽はまた溜息をついた。
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その日の午後、お手洗いから戻ってくるとあかねが待ち構えていた。
「美羽ちゃん、さっき専務から内線が入って専務室まで来てくれって」
「え? はい、わかりました」
何だろう? 何か不手際でもあっただろうか。思い当たることがない美羽は少しの不安を抱きながら専務室へと足を運んだ。
だがその不安は違う形で的中することになる。