愛を知る小鳥
「え…? 今、何て…?」
専務室に入った美羽に告げられたのは予想だにしなかったことだった。
「だから、明日のMOカンパニーとの打ち合わせ、急遽相手方の出席者が変わると連絡が来た」
まさか…美羽の心臓がドクドクと激しく脈打ち始める。
「…園田雄生が来る」
キーーーーーン…
激しい耳鳴りがして足元がふらつくと、咄嗟に潤が駆け寄りその体を支えた。
「危ない! 大丈夫か? …顔が真っ青だ」
「…どうして…」
「わからない。今回はあの男が入っていないことを確認した上でお前も参加させる手筈にしていた。だが今日になって突然一人変えて欲しいと言ってきた。プライバシーに関わることだから詳しいことまでは言えないと。あいつは前回の会議にも出ている。だから…」
今回のプロジェクトはかなり綿密に計画されてきたことだった。余程のことがない限り直前で担当が変わることは考えにくい。彼はプロジェクトメンバーの一人に違いないが、明日の打ち合わせに関しては基本的にタッチしていないはずなのだ。それなのに何故…
美羽はゾクッとする背筋に身震いする。体を支えていた潤はそのまま背中を摩り始めた。
「…明日は他の奴と変わってもいい」
その言葉に反射的に顔をあげる。
「っ嫌です! もう二度と仕事に支障をきたさないって誓ったんです。絶対に外れたくありません!」
「でも、お前…」
美羽の強い意志と今にも折れてしまいそうな不安げな心とが手に取るようにわかり、潤は言葉に詰まる。
「このまま逃げ続けていてもまたどこかで顔を合わせることもあるかもしれません。だから、だから…」
震える唇で必死に言葉を紡ごうとする美羽をグッと抱きしめる。彼女は小さく震えながらも抵抗しない。
「…わかった。俺がいるから。何も心配するな」
勤務中にこんなことをするなんて絶対にあり得ない。
それでもそんなことにすら頭が及ばないほど、今の美羽にはそれが唯一の支えだった。
専務室に入った美羽に告げられたのは予想だにしなかったことだった。
「だから、明日のMOカンパニーとの打ち合わせ、急遽相手方の出席者が変わると連絡が来た」
まさか…美羽の心臓がドクドクと激しく脈打ち始める。
「…園田雄生が来る」
キーーーーーン…
激しい耳鳴りがして足元がふらつくと、咄嗟に潤が駆け寄りその体を支えた。
「危ない! 大丈夫か? …顔が真っ青だ」
「…どうして…」
「わからない。今回はあの男が入っていないことを確認した上でお前も参加させる手筈にしていた。だが今日になって突然一人変えて欲しいと言ってきた。プライバシーに関わることだから詳しいことまでは言えないと。あいつは前回の会議にも出ている。だから…」
今回のプロジェクトはかなり綿密に計画されてきたことだった。余程のことがない限り直前で担当が変わることは考えにくい。彼はプロジェクトメンバーの一人に違いないが、明日の打ち合わせに関しては基本的にタッチしていないはずなのだ。それなのに何故…
美羽はゾクッとする背筋に身震いする。体を支えていた潤はそのまま背中を摩り始めた。
「…明日は他の奴と変わってもいい」
その言葉に反射的に顔をあげる。
「っ嫌です! もう二度と仕事に支障をきたさないって誓ったんです。絶対に外れたくありません!」
「でも、お前…」
美羽の強い意志と今にも折れてしまいそうな不安げな心とが手に取るようにわかり、潤は言葉に詰まる。
「このまま逃げ続けていてもまたどこかで顔を合わせることもあるかもしれません。だから、だから…」
震える唇で必死に言葉を紡ごうとする美羽をグッと抱きしめる。彼女は小さく震えながらも抵抗しない。
「…わかった。俺がいるから。何も心配するな」
勤務中にこんなことをするなんて絶対にあり得ない。
それでもそんなことにすら頭が及ばないほど、今の美羽にはそれが唯一の支えだった。