愛を知る小鳥
どれくらいの時間が経ったのかわからない。
ただとても、とても長い時間そうしていたことだけはわかる。
上手く息が吸えない美羽の呼吸が苦しそうになってきたのに気づくと、ようやく潤がその唇を離した。はぁはぁと肩で息をしながら、潤んだ瞳で自分を見上げる美羽の濡れた唇を親指でグイッと拭う。

もう特別な言葉はいらなかった。彼女の瞳が自分を好きだと言っていたから。
臆病な彼女に今は多くを望まない。伝わるその想いだけで充分だ___
潤はもう一度美羽をその胸の中に強く抱きしめた。

美羽は包まれるその温かさに、心地よさと懐かしさを覚えていた。あれからまだ数日しか経っていないというのに、こんなにも恋しくなっていた。求めていた。
この温もりなしではもう眠れそうにない。
自分が安心できるのはこの腕の中だけ。
もう認めずにいられないところまできてしまっている。

…そう、私は彼のことが好きなのだと。


「あっ?!」

呼吸が落ち着いたのを確認すると、潤はそのまま美羽の体を抱き上げた。

「あ、あの…?」

潤は何も答えず歩を進めていく。やがて辿り着いたのは彼の部屋。そのまま何の迷いもなく部屋に入ると、美羽をベッドに下ろして自分もその隣に腰掛けた。戸惑う美羽をよそに顔を近づけてそのままキスをすると、すぐにそれは激しいものへと変わる。

「んふっ…あっ…!」

頭を固定されているので引くことも許されず、侵入してきた舌に翻弄され、息も絶え絶え必死でついていくことしかできない。激しいはずなのにとても優しい、とても気持ちがいい…美羽の目尻に涙が滲んでいく。
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