愛を知る小鳥
「専務、あの男は何者なんですか?」
泣き止んだ美羽をもっと落ち着かせるため、潤は風呂に入ってくるように促した。残されたリビングでたまらずあかねが口を開く。
「俺もまだ詳しくは聞いていない。学生の時にバイト先の知り合いだったというくらいしか。…ただ、あの男が過去に何かをしたことは間違いない」
「そんな…! いいんですか? このまま一緒に仕事をさせても」
「できることならやめさせたい。だが本人がそれを望んでいない。それに…」
「…それに、何ですか?」
「あの男は小手先の対応をしても別の手で美羽のことを狙ってくるだろう。それなら俺の目が届くところに置いていた方が守りやすい」
「…確かにそうかもしれませんね…」
「この前の打ち合わせの時も思ったんだが、あの男は社内でそれなりの権力を握っているのかもしれない。肩書き上はただの社員だが、身内に重役がいる可能性も否定できない」
「そんな…それじゃ今後も仕事を盾に近づいてくる可能性だってあるってこと…?」
「……」
それっきり互いに黙り込んでしまった。
「あかねさん、今日は本当にありがとうございました」
玄関まであかねを見送りに来ると、美羽は深々と頭を下げた。
「何言ってるの。当然のことをしたまでよ。それに専務の愛する人ですもの、何が何でも守らなきゃ!」
「あかねさん…」
彼女にはどんなに感謝してもしきれない。つい涙腺が緩んできてしまう。あかねはそんな美羽がいじらしく、たまらずにぎゅうっと抱きしめた。
「また今度おいしいもの食べに行きましょ! プライベートでの専務の話もたーっぷり聞きたいし、ね?」
悪戯っぽく笑う顔に美羽も自然と笑顔になる。
「…はい!」
そうして帰って行くの二人で見送った。
泣き止んだ美羽をもっと落ち着かせるため、潤は風呂に入ってくるように促した。残されたリビングでたまらずあかねが口を開く。
「俺もまだ詳しくは聞いていない。学生の時にバイト先の知り合いだったというくらいしか。…ただ、あの男が過去に何かをしたことは間違いない」
「そんな…! いいんですか? このまま一緒に仕事をさせても」
「できることならやめさせたい。だが本人がそれを望んでいない。それに…」
「…それに、何ですか?」
「あの男は小手先の対応をしても別の手で美羽のことを狙ってくるだろう。それなら俺の目が届くところに置いていた方が守りやすい」
「…確かにそうかもしれませんね…」
「この前の打ち合わせの時も思ったんだが、あの男は社内でそれなりの権力を握っているのかもしれない。肩書き上はただの社員だが、身内に重役がいる可能性も否定できない」
「そんな…それじゃ今後も仕事を盾に近づいてくる可能性だってあるってこと…?」
「……」
それっきり互いに黙り込んでしまった。
「あかねさん、今日は本当にありがとうございました」
玄関まであかねを見送りに来ると、美羽は深々と頭を下げた。
「何言ってるの。当然のことをしたまでよ。それに専務の愛する人ですもの、何が何でも守らなきゃ!」
「あかねさん…」
彼女にはどんなに感謝してもしきれない。つい涙腺が緩んできてしまう。あかねはそんな美羽がいじらしく、たまらずにぎゅうっと抱きしめた。
「また今度おいしいもの食べに行きましょ! プライベートでの専務の話もたーっぷり聞きたいし、ね?」
悪戯っぽく笑う顔に美羽も自然と笑顔になる。
「…はい!」
そうして帰って行くの二人で見送った。