愛を知る小鳥
それから二人は次々出される目にも美味しい料理の数々に舌鼓を打った。

「あぁ、美味しかった~! 潤さん、本当にありがとうございます」

「気に入ってもらえたなら良かったよ」

「はい、とっても!」

「また時間が取れるときに来よう」

「…はい!」

『また』。その言葉だけでこんなにも心が温かくなれる。


「あ、悪い。仕事先からの電話だ。ちょっと待っててくれ」

震えるスマホを胸元から取り出すと、潤は入り口の方へと移動していった。


「お口に合いましたか?」


窓の外に目を向けていると後ろから声がかかり、振り向くと大成がニコニコとそこに立っていた。

「はい! とっても美味しかったです。ごちそうさまでした。是非また食べに来させてください」

「それは良かった。作り手として一番嬉しい言葉ですよ」

ふふっと笑う美羽の姿を大成は優しい眼差しでじっと見つめている。

「…あなたみたいな人で良かった」

「え?」

「あいつが苦労したのは知ってるよね?」

「…はい」

「あいつ程じゃないけど俺も親で苦労させられた人間でさ。境遇が凄く近いからか昔から気が合ったんだ。戦友みたいな感じかな。俺は大学の時から付き合ってた今の嫁さんが支えになってくれてここまで来れたけど、あいつはいつも孤独だった。あの見た目だから寄ってくる女は後を絶たなかったけど、あいつは誰も見てなかったよ」

美羽は以前潤に言われた話を思い出していた。

「俺がここを開く時に約束したんだ」

「約束…?」

「そう。ここに女性を連れてくるときは生涯を共にしてもいいって思える本気の女だけにしろって」

美羽の目が大きく見開く。
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