愛を知る小鳥
「園田雄生です。宜しくお願いします」
バイト先の飲食店に園田がやってきたのは美羽が高校2年の時だった。見た目の印象は至って普通で、特別何か印象に残るようなところもなかった。ただ一つだけ、笑ったときの顔がとても人の良さそうな、そんな男だった。
「え~っ、園田君ってT大生なの? 凄~い! 今度勉強教えてよ~」
「ははは、ちゃんと勉強する気があるならいいですよ」
「ひど~い、何それぇ!」
見た目だけで言えば決してもてる部類に入るタイプではなかったが、独特の柔らかい雰囲気に不思議と女性からの人気は高く、バイト先でも彼を気に入っている人は多かったようだった。頭がいい分仕事の呑み込みも早く、職場に打ち解けるまではあっという間だった。
日々を必死で生きていた美羽にとって、誰が入ったやめたということは正直なところ全く関心のないことで、彼とシフトが同じになることも度々あったが、必要最低限の会話以外することもなく、その状態が数ヶ月は続いた。
「ねぇ、もしかして俺、香月さんに嫌われてる?」
「…えっ?!」
彼が来て半年ほどが過ぎた頃、全く予想もしていなかったことを言われた。
「なんか全然話してくれないからさ。もしかして嫌われてるのかなって」
「いえっ! そんなことは全く…あまり周囲に目を向ける余裕もないので…すみません、不愉快に思わせてしまったみたいで」
「あぁっいやいや、謝らないで! こっちこそそんな謝らせるつもりで言ったわけじゃないから!」
互いにペコペコと頭を下げ合う姿に、思わず噴き出してしまった。
その日を境に、二人の距離はグッと近づいていった。
バイト先の飲食店に園田がやってきたのは美羽が高校2年の時だった。見た目の印象は至って普通で、特別何か印象に残るようなところもなかった。ただ一つだけ、笑ったときの顔がとても人の良さそうな、そんな男だった。
「え~っ、園田君ってT大生なの? 凄~い! 今度勉強教えてよ~」
「ははは、ちゃんと勉強する気があるならいいですよ」
「ひど~い、何それぇ!」
見た目だけで言えば決してもてる部類に入るタイプではなかったが、独特の柔らかい雰囲気に不思議と女性からの人気は高く、バイト先でも彼を気に入っている人は多かったようだった。頭がいい分仕事の呑み込みも早く、職場に打ち解けるまではあっという間だった。
日々を必死で生きていた美羽にとって、誰が入ったやめたということは正直なところ全く関心のないことで、彼とシフトが同じになることも度々あったが、必要最低限の会話以外することもなく、その状態が数ヶ月は続いた。
「ねぇ、もしかして俺、香月さんに嫌われてる?」
「…えっ?!」
彼が来て半年ほどが過ぎた頃、全く予想もしていなかったことを言われた。
「なんか全然話してくれないからさ。もしかして嫌われてるのかなって」
「いえっ! そんなことは全く…あまり周囲に目を向ける余裕もないので…すみません、不愉快に思わせてしまったみたいで」
「あぁっいやいや、謝らないで! こっちこそそんな謝らせるつもりで言ったわけじゃないから!」
互いにペコペコと頭を下げ合う姿に、思わず噴き出してしまった。
その日を境に、二人の距離はグッと近づいていった。