愛を知る小鳥
初めて誰かにあのことを話した。
死ぬまで誰にも話すことはないだろうと固く誓っていたことを。
…怖かった。怖くて怖くてたまらなかった。
でもこの人なら全てを受け止めてくれるんじゃないかって。
私の本能がそう訴えてきたんだ。
全てを知った彼がどう思うだろうとか、
嫌われてしまうんじゃないかとか、
そんなことはもう全てどこかへ飛んでいってしまっていた。
今はただこの広い胸に全てを預けて…
ただただ、全てを包み込んでくれるこの場所で______
長い長い時間だった。
もうどれくらいの時間が経ったのかわからないほど、寄り添う二人の影は一時も離れることはない。
「美羽…辛かったな…今までよく一人で頑張ったな…」
綺麗な黒髪をサラサラと撫でるその優しい仕草に、止まりかけていた涙がまた溢れ出す。
「話してくれてありがとう」
「潤さん…」
ようやく体を少しだけ離し、涙で濡れる美羽の顔を覗き込みながらゆっくりとその顔を近づけていく。まるでスローモーションのようにゆっくりと近づいてくる彼を見つめながら、美羽は静かに目を閉じた。
触れたところから電流が走ったような衝撃が伝わる。ビリビリと、ゾクゾクと、全身を駆け巡っていく。それはやがて燃えるような熱となって体中を埋め尽くす。一瞬だけ止まった涙がまた溢れてくる。
「 美羽が好きだよ 」
再び重なり合った影はもう二度と離れることはなかった。