愛を知る小鳥
それから、2人並んで仲良く朝食の準備をした。以前も思ったけれど、潤の手つきは驚くほど器用で、そのままシェフになれるんじゃないかと思うほどだ。

「潤さんにできない事って何にもなさそうですね…」

「んなわけないだろ。俺を神様かなんかと勘違いしてないか?」

「ふふっ、神様潤様か…いいですね。…ぷぷっ!」

「おい、バカにしてるだろ」

「してないですよ? そんなバカになんて…ふふ、あはははっ! って、きゃあっ?!」

もう我慢できないとばかりに大笑いする美羽を、潤は後ろから羽交い締めにした。

「ちょ、ちょっと、潤さんっ?!」

「聞き分けのない子は…こうだ!」

「え? …って、あは、あははははははっ! やめてくださっ、ははははっ、やめてぇ~!!」

身動きの取れなくなった体をこれでもかとくすぐり倒す。あまりのくすぐったさに美羽は涙を流して笑いながら悶絶している。

「いい子になるか?」

「いっ、いい子って…あはははっ、やめてっ…」

「できないのか?」

「ひっ…あはははは! なりますなります! いい子になりますっ! だからやめてっ、あははっ」

ようやく自由になった美羽は肩を揺らしてはぁはぁと息をしている。

「…俺たちバカップルってやつじゃないか?」

「それはっ! 潤さんがあんなことするからですよ!」

涙を拭いながら心外だとばかりに頬を膨らます。

「でもバカップル上等だな」

「え?」

「お前のそんな顔が見られるなら…いくらでもバカになるよ」

「潤さん…」

蕩けるほど優しい顔にたまらなく胸が疼く。美羽もニッコリ笑ってはいと答えると、まるで磁石がくっついていくかのようにまた二人の顔は近づいていった。
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