愛を知る小鳥
「うわぁ、全然変わってない…」
都心から車で2時間ほどの所にあるそのお寺は、周りを森に囲まれた緑の深い場所にあった。そこに美羽の両親は眠っている。
「お父さん、お母さん、ただいま…」
敷地の片隅にひっそりと立つ小さなお墓。美羽はそっと手を伸ばし墓に触れると、持ってきていた道具で丁寧に掃除を始めた。
「なかなか来られなくてごめんね」
「今この私が秘書なんてやってるんだよ」
体を動かしながら、一言一言声をかけていく。潤はそんな美羽を見つめながら共に手を動かした。
「綺麗になりましたね…! 潤さん、ありがとうございます」
「いや」
そう言うと潤は体ごと墓石に向き直り、ゆっくりと口を開いた。
「美羽さんの上司の藤枝潤と言います。彼女は私の大切な秘書であり、たった一人のかけがえのない女性です。彼女を生み育ててくださったこと、そしてあの時守ってくださったこと、心から感謝します。これからは私が一生彼女を守っていくと誓うので、どうか安心して眠っていてください」
そう言って手を合わせて目を閉じた潤の姿に、止めどなく涙が溢れてくる。彼の隣に並んで手を合わせると、涙に震える声で美羽も語りかけた。
「お父さん、お母さん、いつも見守ってくれてありがとう。私、生まれて初めて愛する人ができました。この人と一緒ならどこまでもいけるって思えるほど大切な人です。どうか、これからも温かく見守っていてください…」
最後の方は涙声でまともに言葉を発することができなかったが、しっかり自分の言葉で伝えることができた。言い終えると顔を覆って泣き始めた美羽を、潤は優しく抱きしめた。
さわさわと優しい風が通り抜けていく。
それはまるで両親が二人を祝福してくれているかのようだった。
都心から車で2時間ほどの所にあるそのお寺は、周りを森に囲まれた緑の深い場所にあった。そこに美羽の両親は眠っている。
「お父さん、お母さん、ただいま…」
敷地の片隅にひっそりと立つ小さなお墓。美羽はそっと手を伸ばし墓に触れると、持ってきていた道具で丁寧に掃除を始めた。
「なかなか来られなくてごめんね」
「今この私が秘書なんてやってるんだよ」
体を動かしながら、一言一言声をかけていく。潤はそんな美羽を見つめながら共に手を動かした。
「綺麗になりましたね…! 潤さん、ありがとうございます」
「いや」
そう言うと潤は体ごと墓石に向き直り、ゆっくりと口を開いた。
「美羽さんの上司の藤枝潤と言います。彼女は私の大切な秘書であり、たった一人のかけがえのない女性です。彼女を生み育ててくださったこと、そしてあの時守ってくださったこと、心から感謝します。これからは私が一生彼女を守っていくと誓うので、どうか安心して眠っていてください」
そう言って手を合わせて目を閉じた潤の姿に、止めどなく涙が溢れてくる。彼の隣に並んで手を合わせると、涙に震える声で美羽も語りかけた。
「お父さん、お母さん、いつも見守ってくれてありがとう。私、生まれて初めて愛する人ができました。この人と一緒ならどこまでもいけるって思えるほど大切な人です。どうか、これからも温かく見守っていてください…」
最後の方は涙声でまともに言葉を発することができなかったが、しっかり自分の言葉で伝えることができた。言い終えると顔を覆って泣き始めた美羽を、潤は優しく抱きしめた。
さわさわと優しい風が通り抜けていく。
それはまるで両親が二人を祝福してくれているかのようだった。