愛を知る小鳥
「月末にプロジェクト成功を記念したパーティが開かれる」
「パーティ?」
書類を持って専務室にやって来たところで潤が口を開いた。例のプロジェクトが始まって早数ヶ月、ようやく佳境を迎え無事に終わろうとしていた。
「それって…」
「あぁ。関わった企業の人間はほとんど来るだろうな」
「…」
結局園田と顔を合わせたのはあの日が最後だった。何度か仕事上接点はあったが、美羽が直接関わりをもつことはなかった。潤は椅子から立ち上がると、黙り込んでしまった美羽の前まで歩み寄った。ゆっくり手を伸ばしてそのまま美羽の体を引き寄せる。
「俺がいる。周りに多くの人もいるし、俺から絶対に離れるな。大丈夫だ」
「…はい」
美羽は目を閉じると、しばらく潤の胸の中にその体を預けた。
***
「わぁ、美羽ちゃん素敵っ!」
その日はあっという間にやってきた。
あかねはいつもとは少し違う美羽を見て大はしゃぎだ。とは言っても基本的なスタイルは変わらない。だがいつものような暗めのスーツではなく、明るめの大人びたものを選んだだけでその印象はガラッと変わる。髪型も今日はアップにしている。
「やっぱり素材はいいのよね、美羽ちゃんって」
「そんなことないですから。あかねさんこそ凄く素敵です」
「あら、お世辞でも嬉しいわ。ありがとう」
あかねは照れながらも嬉しそうだ。お世辞でも何でもなく本当だ。紺のドレスを上品に着こなしている彼女はどこからどう見ても素敵な大人の女性で、美羽の憧れなのだ。
「それにしてもわかってはいたけど凄い人ね…」
「本当ですね」
大手ホテルの大広間を使って開かれたパーティには、総勢400名ほどが集まっていた。プロジェクトに直接的、間接的に関わった企業の人間が数多く参加している。美羽の会社からは社長とあかね、そして潤と美羽を中心に計10人が参加していた。
「パーティ?」
書類を持って専務室にやって来たところで潤が口を開いた。例のプロジェクトが始まって早数ヶ月、ようやく佳境を迎え無事に終わろうとしていた。
「それって…」
「あぁ。関わった企業の人間はほとんど来るだろうな」
「…」
結局園田と顔を合わせたのはあの日が最後だった。何度か仕事上接点はあったが、美羽が直接関わりをもつことはなかった。潤は椅子から立ち上がると、黙り込んでしまった美羽の前まで歩み寄った。ゆっくり手を伸ばしてそのまま美羽の体を引き寄せる。
「俺がいる。周りに多くの人もいるし、俺から絶対に離れるな。大丈夫だ」
「…はい」
美羽は目を閉じると、しばらく潤の胸の中にその体を預けた。
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「わぁ、美羽ちゃん素敵っ!」
その日はあっという間にやってきた。
あかねはいつもとは少し違う美羽を見て大はしゃぎだ。とは言っても基本的なスタイルは変わらない。だがいつものような暗めのスーツではなく、明るめの大人びたものを選んだだけでその印象はガラッと変わる。髪型も今日はアップにしている。
「やっぱり素材はいいのよね、美羽ちゃんって」
「そんなことないですから。あかねさんこそ凄く素敵です」
「あら、お世辞でも嬉しいわ。ありがとう」
あかねは照れながらも嬉しそうだ。お世辞でも何でもなく本当だ。紺のドレスを上品に着こなしている彼女はどこからどう見ても素敵な大人の女性で、美羽の憧れなのだ。
「それにしてもわかってはいたけど凄い人ね…」
「本当ですね」
大手ホテルの大広間を使って開かれたパーティには、総勢400名ほどが集まっていた。プロジェクトに直接的、間接的に関わった企業の人間が数多く参加している。美羽の会社からは社長とあかね、そして潤と美羽を中心に計10人が参加していた。